生成AIに読書感想文は書けるか?(2)
現在、ChatGPTを追うようにして、新たな生成AIが開発されています。その1つにマイクロソフトがBingに搭載したチャット機能があります。これで「坊っちゃん」の感想文が書けるかどうかを検証してみます。
人間 | 読書感想文の概要を作成し、書き出す手助けをしてください |
AI | |
人間 | 書籍は夏目漱石の「坊っちゃん」です。 |
AI |
「坊っちゃん」は、夏目漱石の代表作の一つで、1906年に発表されました1。漱石自身の教師経験が元になっていると言われています12。 感想文の概要を作成するには、以下のステップを参考にしてください。
例えば、以下のような概要が考えられます。 夏目漱石の「坊っちゃん」は、明治時代の日本を舞台にした風刺小説です。主人公は、東京から四国の学校に赴任した若い教師で、無鉄砲で正義感の強い性格です。彼は、現地の教師や生徒と様々な騒動に巻き込まれながらも、自分の信念を貫こうとします。しかし、最終的には、教頭や同僚たちの陰謀によって学校を辞めざるを得なくなります。 この本を読んで、私は坊っちゃんの正直で勇敢な姿に共感しました。彼は、自分の思いや考えを素直に表現し、不正や不平に対して立ち向かいます。しかし、彼は時に周りの人々や状況を見誤ってしまい、失敗や後悔を味わいます。私もそういう経験がありますが、坊っちゃんはそれでも前向きに生きようとします。彼は自分の過ちを認めて反省し、次に活かそうとします。彼は自分の人生に責任を持っています。 この本は、明治時代の社会や教育制度に対する批判や皮肉が込められていますが、それ以上に人間の心理や性格について深く描かれています。登場人物たちは、それぞれに個性的で魅力的ですが、同時に欠点や弱点も持っています。彼らは互いに影響しあって物語を動かしていきます。私は特に、「赤シャツ」と呼ばれる坊っちゃんの友人や、「野だいこ」と呼ばれる坊っちゃんの敵対者が印象的でした。彼らは坊っちゃんと対照的な存在ですが、彼らもまた坊っちゃんと同じように生きていることが伝わってきます。 **この本は、今でも色あせない名作だと思います。夏目漱石の独特な文体やユーモアも楽しめますし、登場人物たちの言動も面白くて引き込まれます。しかし、それだけではなく、この本から私たちは自分自身や社会や人間関係について考えさせられます |
Bingのチャットを開くと、テンプレートで「読書感想文の概要を作成し、書き出す手助けをしてください」というメニューが出てきます。あくまでも、「手助け」であることを示していますが、例文は作品に即したもので、ChatGPTより、かなり精度が高くなっています。
ただ、問題点もあり、まず赤シャツは坊っちゃんの友人ではないことが挙げられます。また、坊っちゃんが反省を次に活かそうとしているか、人生に責任を持っているかについては、疑問符がつきます。
Bingチャットの面白いところは、出典となるサイトのURLが併記されるところです。この場合も、ウィキペディアや青空文庫、あらすじ紹介サイトや書評サイトが示されます。
Bingチャットでは、書評サイトが充実している場合、高水準の読書感想文が書けてしまいます。今までも、書評サイトからアイデアをもらうことはできましたが、そこから適当なものを選択して、それらしくまとめることができてしまうのです。
ChatGPTは、なんとなく文体があるのですが、Bingチャットの文章を手書きで書かれたら、AIであることを見極めるのは、かなり難しくなると思われます。
ただし、どちらも総論として書かれる傾向が強く、書き手自身のこだわりや思いが込められることはありません。コンクールで入賞できるかと言われれば、まだまだです。また、枚数制限をクリアするには、それなりの工夫が必要です。
現段階では、着想を得たり、書き方を参考にしたりするレベルですが、生成AIは使われるほど精度が上がっていきます。いずれ、本当に見分けがつかなくなる時がくるかもしれません。
一律に課される「読書感想文」という課題の意義や功罪を考え直すべきなのかもしれません。
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- 都内公立中学校教諭
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